エンジニアのマネジメント、あるいはリーダーシップについて

この記事について

自身の仕事に、1つの節目ができました。
このタイミングで、エンジニアのマネジメントについて、僕が思っていたことを書き残しておきます。

僕のやってきたリーダー業なんて未熟すぎて恥ずかしいばかりで、何かを言うのもおこがましいのですが。。
それでも、未熟ながらに、現時点まで考えてきたことを書きます。 誰に向けたメッセージでもないですし、特に話のまとまりもないです。

本編

リーダーという立場は楽しいです。
成果を問われると声を大にして言えませんが、それでも僕は楽しいと感じています。大変なこともたくさんありますが、大変であることと、楽しくないことは相関関係にありません。その立場にいるから仕事を前向きに頑張れる、みたいなところはすごくあります。

意思決定をする立場にいるということは、自分のやりたいように物事を進められるということです。もちろん独りよがりはうまくいかないですが、それでも、多くの意思決定に関与することにはなります。そうすると、愚痴をいう機会は自然と減ります。なぜなら、多くの意思決定は自らが決めたことであり、会社に至らない所があるのなら、それを変えていける権限を自分が持っているからです(というか、リーダーという立場なんかでなくても、全員が持っているんですけどね)。

なにより、メンバーがいることのありがたさを物凄く感じます。自分一人では大きなことを成し遂げることが難しいことを知り、それを自分ではないメンバーが補ってくれることを経験します。ふとした瞬間に、泣きそうになるくらい感謝の気持ちが湧いてきます。
人生の醍醐味だと思います。

「マネージャー/リーダー大変そう」というイメージを持つ人も多いと思います。大変そうだと思うのであれば「目指したいマネージャー/リーダー像」を描いて、それに向かっていく、そういう状態であってほしいです。とはいえ、大変そうだと思われてしまうのは、そう思われるような未熟な振る舞いを僕がしていたからであり、精進していきたいです。

これは憶測ですが、みなさんが大変そうだと思っている方々は、みなさんが思うほど大変とは感じておらず、むしろその渦中にいる自分を楽しんでいる気がします。たしかに、楽かと言われたら、そんな事はありません。マネージャー/リーダーの仕事は「未来を作っていくこと」、そしてそのために「現実をなんとかすること」です。簡単なはずがありません。でもそれってカッコいいことだと思いませんか?

マネージャーやリーダーをやることによって、技術に向き合う時間が減ってしまうことを危惧することはあります。
たしかに、技術に向き合う時間は減ります。それは事実です。MTGに参加し、Slackを返してたらインシデントが発生し、ようやく暫定対応を終えたらまたMTG、いくつかレビューだけして1日が終わる。振り返ると、何したんだっけ?と思う。そんな日もあるでしょう。
もしかすると「自分が成し遂げたと言えること」は全然浮かばないかもしれません。その状況に絶望することもあるかもしれません。

まぁそんな日を「何もできなかった日」にするかどうかも、結局は自分次第ですけどね。(恒久対応を他の人に丸投げしていませんか?インシデントの恒久対応って成長機会ですよ?みすみす手放していませんか?どうすれば再発を防げるのか、あらゆる技術・サービスを調べましたか?頭ちぎって考えましたか?他の誰かが解決策を持ってくることを暗に期待していませんか?それであなたは満足ですか?)

上記は少し厳しい言葉ですが、仮に「自分が成し遂げたと言えること」が全然浮かばないとしても、多くの場合において、リーダーはなくてはならない存在であるはずです。仮に不要と感じるのであれば、周囲の人とコミュニケーションをとりながら、あらためて自身の役割を捉え直すチャンスですね。

良いプレーヤーであるためには、マネージャーを経験することが必須だと思います。これは僕がやってみて感じたことです。
なぜなら、自身の取り組んでいる業務が事業に、会社にどのような利益をもたらすのか、というボトムアップ的な視点のみではなく、事業・会社から見たときにやるべき仕事は何か、解決するべき事は何か、という視座を得られるからです。個人的な考えですが、自分の仕事がどんな良い影響を与えるのかを説明できること、あるいは説明のできない仕事を疑ってかかることは、当たり前のことです。そして現場の視点(ボトムアップ)から「これこれをやるべきです」と言うのも簡単です。言うだけなら飲み会で愚痴を言ってるレベルを超えません。しかし真に優先度の高いことを考え、それを実行に移して実現に向かうことは簡単ではなく、資源が限られている中で、やること・やらないことを決める判断が必要になります。この判断をするための全体的な視野を得るという意味において、マネージャーというロールは最適です。
これができないと、どれだけハイスキルでもその能力を活かす先が限られてきます。仕事は一生懸命取り組んでいても、全体から見て優先度が低いという状況が起こります*1。ハイスキルであることを蔑ろにするつもりは全くありません。けれど自分で自分の活かし方を決められない、というのは辛いことだなと思います。

解くべき問いを見極めるためには、当然システムのことだけがわかっているだけでは足りません。様々な声を聞き、既存のシステムや組織、事業と照らし合わせた上で、向かいたい未来と現実のギャップを埋めるための道筋をリードしていく、それがあるべき姿だと僕は教わりました。そういう存在を目指していきたいです。

最後に

ここで書いた内容は、下記の記事の影響を受けています。

rfushimi.hatenablog.jp

charity.wtf

自身がエンジニアリングマネージャーに近い役割を担う中で、これからのキャリアってどうなるんだろう?と考えていました。そんな中でこの記事に出会い、解像度が上がりました。記事が公開されたのは5年以上も前ですが、当時の僕にとても刺さりました。この場で感謝を述べたいと思います。

*1:それを受け入れたうえで楽しいからやる、というのも素晴らしいと思います